その日私達は困っていました。
娘も生後100日を迎え、お食い初めをすべき日がやって来ました。お互いの実家から遠く離れているため、親子3人でサクッと行う事に。
私が作るメニューは、お赤飯、煮物に蛤のお吸い物、鯛の尾頭付きです。
それぞれの料理に、長寿や子宝等、ちゃんと意味があります。
中でも、鯛の尾頭付きは、めでタイ!というゴロ合わせで一気にお祝いムードを高めてくれるお食い初めには欠かせないメニューなのですが、その日どこに行っても鯛は売っていなかったのです。
なんと、普段切り身しか買わない主婦力の低い私は、スーパーで売っている魚のラインナップをよく知らなかったのです。
3軒目はお魚屋さんに行きました。
すると、
「そういうのは予約してくれないと。言ってくれれば競り落としてくるんだけど。」
競り。成る程。そう言う仕組みなのか。
その日美味しそうだったり、お買い得だったりする魚を大将が見極めて仕入れているのだろう。
困った。
こうなったらたい焼きをお皿に飾ってやり過ごそうと決意しかけた時、魚屋さんと私達のやり取りを見ていたご婦人から声を掛けられた。
自由市場とは、鮮魚や塩干物、青果、加工品など40以上の店舗が入っている市場で、戦後の闇市が発展して出来た市場らしい。
地元民からの信頼も絶大で、きっと鯛も売っている、とのこと。
ナイスな情報をありがとうございます〜!!
早速私達は鯛をゲットすべく自由市場に向けて市電のりばへと向かいましたが、途中で先程の親切なご婦人と再度遭遇。
するとご婦人から、有難いお言葉が!!
ありがたや〜。
親切な人が居たもんだ。見ず知らずの私達を車に乗せて下さるなんて。物騒な世の中だというのに。ありがたやありがたや…。
道中その親戚なご夫婦とおしゃべりをしながら、市場まで送って頂き、無事鯛の尾頭付きをゲット!…
出来ませんでした〜
函館民の台所自由市場をもってしても鯛は無く…。そこでもやはり「言ってくれれば競り…」とのお言葉。
しかし、お魚屋さんの奥さんが、お食い初めならキンキでも良いよ!うちの孫の時も鯛が獲れなくてキンキで代用したよ!とキンキをお勧めして下さり、キンキをゲットしました!
ども、キンキです。
ひぇ…。
前述しましたが、普段魚は切り身派の私です。
楽だから、では無く、叱られそうですが捌くのが怖いのです。
と言うか魚介全般料理するのが怖いです。
アサリのボンゴレなど作ろう日には、熱いフライパンに入れられた彼らが一斉に殻を閉じたり、絶命してまた殻を開いたりする様を見て、さっきまでせっせと砂を吐いていた姿が瞼に浮かび辛い…。食べますが。
海老の皮剥きや、背ワタを取る作業も、うわぁ〜と言いながらしています。
食べますが。
と言う事で内臓と鱗の処理を夫君に任せ、
なんとか、お食い初めをする事が出来ました〜。
サクっと終えたお食い初め。キンキ食べかけ。美味しかったです!さすが北の高級魚!
この日は函館に来て割とすぐの事でしたが、私の函館に対する印象がうなぎのぼりになった出来事となりました。