以前ツイッターの海をボケーっと漂っていたところ、
「子どもと沢山会話しよう。」と、この本をお勧めされている方がいて興味が湧いたので早速読んでみました。
読みながら新しい発見の連続で、これは知っているのと知らないのでは子どもの未来は大違いなのでは!?と思ったので是非紹介させてください!
子育てをしている人にはもう常識かも知れませんが…。
3000万語の格差ってこんな本
字が多くなってしまったのでスマホの人は読み辛いかもです。すみません。
著者はアメリカの小児人工内耳外科医のダナ・サスキンドさんという女性。
彼女が手術をした子供達は皆同じように音が聞こえるようになったはずなのに、その後の経過を見ていくと、聴覚障害のない他の子供達となんら変わらぬ読み書きスキルを習得出来るように成長する子と、音は聞こえるのになんら言語発達をしない子の違いが生まれる事に疑問を持ち、彼女はこの差の謎について調べていくのです。
言語環境の差が明暗を分けていた
以前から、成績の差は貧富の差と関係が深い事は統計的に分かっていました。
そのため、1960年代のアメリカ社会はまず貧困をなくそうと活動しますが上手くいきませんでした。
結局、成績の差は「遺伝」やそもそも変えられない要因だと社会通念上片付けられていました。
しかし、ハートとリズリーという2人の大学院生の臨床実験によってある事実がわかったのです。
2人の発見とは、
「幼い時に言葉を耳にすることと子どもの将来の学業の到達度は関係する」
というものでした。
研究では、異なる社会経済レベルに属する家族の子どもを、長期間に渡り追跡観察します。
どの親も皆社会規範を教え、自立した存在を育てようと奮闘していました。
しかし、際立った違いもありました。
まず一つは家族間の言葉の数。
経済レベルの高い家庭ほど言葉の数は多く、低い家庭は少なかったのですが、
その差は3歳の終わりでなんと3,200万語にもなりました。
そしてその言葉の数の差が、将来の学ぶ能力の差となっていったのです。
データを細かく紐解くと、親が沢山話した家庭の子どもはそうではない子どもに比べ、経済的な地位とは無関係によくできるという単純な結果となりました。
「親が話しかける言葉が多いほど、3歳時とその後のIQテストの点数も高かった。ほぼ例外なく。」
豊かな言葉環境のヒント
3つのT
著書は豊かな言葉環境づくりのために3つのヒントを提示しています。
それは3つのTです。
一つ目:チューンイン
子どもが集中している対象に保護者が気づき、適切な場合はその対象について子どもと一緒に話す。
子どもが積み木に夢中になっているのに、「おいで、絵本を読もうね。」と子どもの集中の対象を変えさせてチューンインをするのは良くない。
というのも、子どもの実行機能はまだ発達途上にあるため自分が興味を感じた時だけ集中し、子どもが関心を持たなければ言葉は宙に浮き脳発達にはほとんど、または全く効果がないことが研究で分かった。
子どもが集中しているものごとに保護者も向き、自分も関わりながら、豊かで思いやりのこもった言葉で話していれば、子どもはより長い時間集中し、より容易に学ぶことが出来るようになる。
また、この研究では赤ちゃん言葉が赤ちゃんの脳が言葉を学ぶ上で有効であることが分かった。
2つ目:トークモア
チューンインと同時並行するプロセスで、子どもと話す保護者の言葉を増やすこと。
具体的には漫画に書いたとおり。
更に、保護者は子どもが発した言葉をふくらませ、伸ばし、足場をつくることを意識すると良い。例えば、
「わんわん、悲しい」には、
「あなたの犬が悲しんでいるんだね」
「ねんね」には、
「眠いんだね、もう遅いし疲れているよね」
と、子どもがすでに知っている言葉を使い、それを積み木のようにして、いっそう精巧な文章にしていく。
子どもが単語を1つ使ったら、保護者は2語、3語で応えるなど子どもの持っているコミュニケーションスキルの少し先にいる手法を使っていこう。
3つ目:テイクターンズ
テイクターンズは子どもを対話のやりとりの中に引き込んでいく方法であり、脳の発達において3つのTの中で最も大事。
チューンインし、それについてトークモアをして、やりとりが始まったら保護者は子どもが反応するまで待つ。この「待つ」が鍵となる。
例えば、話し始めたばかりの子どもは言葉を探さなくてはならないため、言葉を見つけるまでの時間が長すぎて保護者はつい言葉を先取りしてしまう。
しかし、そうするとせっかくの学びの時間がそこで終了しかねない。自分で単語を探す時間を子どもにあげるかどうかがテイクターンズの鍵である。
また、こちらからの呼びかけは「はい」「いいえ」で終わるものではなく、簡単な「なぜ」「どうする」を使い沢山の単語、アイデアを引き出そう。
その他おすすめ項目
ここまで、この本の重要点をまとめましたが、これはほんの一部です。
他にも私が気になったのは、
- 子どもの能力を抑えてしまう言葉
- 赤ちゃんの脳に影響を与える「ストレス」と「安定」
- テレビについて
- 言葉の量、質と算数の関係
- 女児の数学能力向上を阻害するもの
- 成功する子と失敗する子の自己肯定感
- 褒め方の違い
- 自己制御と実行機能の育て方
- 効果的な絵本の読み方
- 命令形の代わりに「なぜなら思考」を使う
- 音楽と美術の与える影響
(これらは目次ではなく、文章を私なりにまとめたものなのでニュアンスが違っているものもあるかもしれません)
などなど、なるほどなぁ〜と思うところがいくつもありました。
最後に
全部で266ページと、読み応えのある量に加え、箇条書きや太文字、イラストなど読みやすくする工夫が殆どないため少し読み辛いかもしれません。
著者が出会った論文発表者や研究者の個人的な情報や、終わりの方はこの重要な研究をどのようにアメリカ社会に広げていくか、そしてアメリカ特有のちょっとしたジョークなど余計(失礼!私にとっては、という意味です)な文章も多いですが、それでも読み終わった後は「読んで良かった!」と思いましたし、2回読みました。
胸を張っておすすめ出来る内容です。
因みに、重要な点だけ教えてくれよ!という方にはこちら、
「 子供の脳は5歳までに準備しなさい」をおすすめします。
この本は以前読んでいたのですが、こちらもアメリカ人の書いた本で恐らく同じ論文から引っ張って来ているんじゃないかなと思うくらいに類似点が多く感じました。「3000万語の格差」の重要部分を読みやすく完結にまとめた感じ?イラストもあるし…。
しかし、その本を読んだ上で「3000万語の格差」でかなり多くの発見がありましたので、私はこちらをおすすめします。
3000万語の格差 : 赤ちゃんの脳をつくる、親と保育者の話しかけ
- 作者: ダナ・サスキンド,掛札逸美,高山静子
- 出版社/メーカー: 明石書店
- 発売日: 2018/05/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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長くなりましたので今日はおまけのコーナーは無しで!
それでは。
続きです⤵︎