夜の街を知らない。
娘が生まれてから、寝かしつける時間、お風呂に入れる時間等を逆算すると、なかなか夜に外出する事は難しくなりました。
家族でのお出掛けも午前中から出掛けてどんなに遅くとも17時位までには帰って来ます。
そんなある日のこと。
いつものように仕事から帰って来た夫君から、マンションの入り口の電気が消えていた事を聞きました。
それは困ったねぇ。明日には電球取り替えて貰えると良いね。
しかし、私はあまりピンと来ません。
何と言うか、物凄くひとごとなのです。
というのも、マンションの入り口の明かりが全く想像出来ないのです。
あれ…そもそも入口ってどんな照明で、どこにあったっけ…。?
…あっ!!!!!
…見た事無いんだ……。
びっくり。
この街に住んでもう4か月以上が経っているけど、夜に外に出た事が無かった。
夜の景色は窓から見える隣家と空き地しか知らない。
これって、凄い事だと思うのです。
30過ぎた大人が、住んでいる街で夜出歩いた事が無いのです。
家の前の道路がどんな街灯なのか、メインストリートが夜にどんな表情に変わるのか、知らないのです。
私がもしドラクエの主人公だったら、夜しか仕入れられない町人の重要情報を見逃している状態です。このままではいつまでたってもストーリーが進みません。
昼間誰もいない所に人がいたからこれは!と思って話しかけた時の「ぐぅぐぅ…。」の絶望感とかさ…。
とにかく、この事実に気付いた私は暫くショックを受けてしまいました。
娘を生む前に、夫君と仕事終わりに待ち合わせをしてデートした事とか、
友達や同僚と飲みに行ったりだとか、
楽しい夜の風景を思い出してしょんぼりしてしまったのでした。
なんだか世間と隔絶してしまったような気持ちです。
夜の街に出てみた。
そんな風に寂しく思っていたのですが、
ここ最近日が落ちる時間がぐんと早くなり、
夫君と娘と、近所の回転寿司にご飯を食べに行った帰り道。
17時過ぎなのにもう真っ暗!
あっ!
夜だ!!!
な〜んだ、昼間だろうが夜だろうが大して変わらないじゃん。
実際に夜に出歩いてみて、少し深刻に捉え過ぎていた事に気が付きました。
でも、やっぱりいつもの風景が夜の風景に変わるとなんだかワクワク。
隣を歩く夫君と、ベビーカーの中の娘を見ると、さっきまでの美味しいお寿司も手伝って、幸せがしみじみと込み上げて来ました。
ベビーカーを押しながらだから、前みたいに手を繋いで歩けないけど、でもこれはこれで幸せだなぁ、夜出歩けない事なんて大した事は無かったなぁと思ったのでした。
私はこの街では、昼間に沢山楽しもうと思います。
でももう少し大きくなったらたまには夜のお出掛けも大丈夫かな?